耳鼻咽喉科は2019年4月より秋田から花田副部長が赴任され、より充実したスタッフとなりました。常勤医師5名(田邉正博名誉院長、井野千代徳副院長、大津和弥部長、花田副部長、井野素子医長)、非常勤医師3名で外来診療および手術治療にあたっています。外来診察は月曜日~土曜日の午前中は主に2診体制で対応しておりましたが、スタッフ増員に伴い3診体制で対応可能な日が増え、今後外来で患者様の待ち時間を少なく出来ると思われます。月曜日~金曜日は午後に専門外来を、夕方に夜診を行っております。また救急車や急性疾患も受け入れており、特にめまいや鼻出血、咽喉頭の炎症疾患などの急性疾患は北河内地区を中心に積極的に受け入れています。
耳鼻咽喉科診療は内科的治療から外科的治療、心療的加療と幅広い分野をひとつの診療科で行う非常に幅広い診療科です。なかなかすべての分野を専門的に取り扱うことは難しいとされ、大学病院でもすべての専門分野がいないことも少なくありません。当院では通常の耳鼻咽喉科診療だけでなく、専門的な治療にも力を入れています。特に心療耳鼻科(舌痛症や咽喉頭異常感症、めまい症)などでは井野千代徳副院長が通常の加療に加えてカウンセリングも積極的に行っており、遠方より受診される方も少なくありません。また音声外科治療に関しては世界的名医である一色信彦京都大学名誉教授が当院で手術を行うようになり、それを引き継いで田邉名誉院長、大津部長で難治性の痙攣性発声障害や声帯麻痺、気道狭窄症例など全国各地より受診され、治療にあたっています。特に2018年度より厚生労働省より「先駆け審査指定制度」に基づく医療機器及び再生医療等製品の対象品目の第1号であるチタンブリッジが正式に薬事承認され、これに伴い痙攣性発声障害手術としてチタンブリッジを用いた手術である甲状軟骨形成術Ⅱ型も新しい術式として正式に保険収載されました。これにより今後はさらに痙攣性発声障害の認知度が広まり、今まで治療法がないといわれてきた患者様に対する手術も増加することが予想されます。また手術に抵抗のある方は、こちらも昨年より保険適応となりましたボトックス注射の認可も得ており、患者様に希望に応じて治療法を選択していただいています。
手術日は月、火、水、金曜日の週4日行っており、緊急手術にも対応しています。手術症例数は年間600例前後施行しており、耳手術を井野千代徳副院長、鼻手術を花田副部長と井野素子医長が、音声・喉頭手術を田邉名誉院長、大津部長、頭頸部腫瘍を大津部長が担当しています。外来手術、小手術から頭頸部癌の長時間手術まで幅広く対応しています。特に喉頭形成術に関しては一色法と呼ばれる甲状軟骨形成術、披裂軟骨内転術の喉頭枠組み手術を日本でも有数の症例数を数えます。
今後も患者様に寄り添った治療を第一に考え、地域医療だけでなく全国各地より当院で治療を希望されて受診された患者様の期待に少しでも応えられるように研鑽していく所存です。